ローテクなソーラーハウス
この地球に埋蔵するエネルギー源(石油、天然ガス、ウラン)には、埋蔵量に限度があることを誰でもご存じでしょう。しかしその量が後どれだけ残っているのかをご存じの方は少ないのではないでしょうか。実はこのままの使用量を続けて行けば、石油は50年、天然ガスは65年、ウランは40年分しか有りません。さらに発展途上国の経済成長に伴いその年数は年々短くなっています。そして当然のこととして埋蔵量が減るにつれてその値段も上がります。あなたのお宅では冷房、暖房にどのエネルギーをお使いですか?
我々の太陽の余命は後何年かご存じですか?
実はこのままの割合で太陽の燃焼が進行すると仮定すると、後数十億年と予想されます。太陽の中心温度は1,000万〜1,400万度で、表面部分の平均温度は5,500度です。その太陽から地球に到達する放射エネルギーは太陽から放射されるエネルギーの約20億分の1にすぎません。しかしそれでも地球上の人間が1年間に使用するエネルギーの35,000倍に相当します。その太陽放射エネルギーを住宅に利用しようと考えたのがソーラーハウスです。
ソーラーハウスと言いましてもその中には2つのタイプがあります。
@ アクティブ・ソーラーハウス (能動的太陽熱利用住宅)
A パッシブ・ソーラーハウス (受動的太陽熱利用住宅)
ここではAのパッシブ・ソーラーハウスを紹介します。
今、建築の室内空間は、複雑で高度な機械を駆使した人工環境ほど良質であると考えられています。しかしその機械のイニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンス、住環境汚染は、次第に無視できなくなってきました。そこでその解決策の一つとして考えられるのが、建物の中を流れる熱を特別な機械装置を用いずに、輻射、対流、伝導によって自然に行い、建物自体の性能、工夫によって熱の流れをコントロールする。すなわち自然環境に適応しながらそのポテンシャルを最大限に利用していくシステム化された住宅・・・パッシブソーラーハウスです。
上部写真の住宅は、RC造2階建てで外断熱工法をとっている。
夏: 昼間、窓の開放部位によって吹き抜けで構成された空間に立体的に風を通し、天窓の煙突効果によって風のない日にも強制的に風を起こす。
夜間、天窓を通る涼しい空気を地下の蓄熱層に蓄え昼の暑い時に放出する。
冬: 昼間、背の高い窓から差し込む日差しの熱を取り込み外部に出さない。天窓の暖まった空気を地下の蓄熱層に蓄える。
夜間、蓄熱層の熱を放出する。
パッシブソーラーハウスにおけるローテク部分とは?
夏: どの部屋に風がほしいかを考えて窓を手で開け閉めし、風の立体的な道を造ってやる。
天窓の「暖められた空気は上昇する」煙突効果を利用して強制的に風を起こしてやる。
冬: 昼間は全てのカーテンを開け日射を十分に取り込み(窓を高くすると部屋奥まで日が射し込む)
夜は全てのカーテンを早めに閉める。